平成13年から平成23年の10年間にわたり、神奈川県の中津川で生き物の保護と研究に取り組む二人のおじいさんの姿と、植物や水生昆虫の生態、そして徐々に明らかになる環境の変化を追い続けたドキュメンタリー映画です。
神奈川県愛川町と厚木市を流れる中津川に、首都圏最大級の水がめ「宮ケ瀬ダム」が完成したのは平成12年のことです。上流にダムが出来たことで、中津川では生き物たちに様々な影響があらわれはじめました。
愛川町に住む吉江啓蔵さんは、絶滅危惧種の植物「カワラノギク」の保護に取り組んでいます。
カワラノギクは世界でも日本の関東地方の限られた河川にしか見られない植物です。中津川ではかつて至る所に群生していましたが、河川整備やダムの影響を受けて、ほぼ絶滅状態に陥っています。
吉江さんはこの貴重な植物を絶滅から救うため、たった一人で保護活動を始めました。
一方、かつて愛川中学校の教師であった齋藤知一さんは、昭和30年代から中津川の水生昆虫調査を行ってきました。水生昆虫とはトンボやカゲロウなどの幼虫で、その種類や数・分布などを調べることで、川の環境状態がわかってきます。
宮ケ瀬ダムが完成したのを契機に、齋藤さんは中津川の水生昆虫調査を再び始めることにしました。
この作品は、絶滅に瀕しながらも吉江さんの献身的な世話のもとで命を吹き返していくカワラノギクの繁殖の過程と、齋藤さんの調査から見えてくる水生昆虫の知られざる生態、そしてダムの影響によって現れはじめた川の環境変化を描いています。
身近に存在するゆえに、普段見過ごしがちな川の自然。そこでは小さな生き物たちが懸命に暮らしています。生命の営みを見つめ続ける吉江さんと齋藤さんの姿から、人と自然の大切な結びつきが見えてきます。
そして中津川における人と自然の共生のありかたが、実は日本全国の河川にも共通する課題であることが浮き彫りになります。
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